先日の熱海での土石流に続いて、西日本や九州では豪雨による被害が心配されています。ここ何年か、雨の降り方が尋常ではないことが多く、そのたびにあちこちで災害が発生して尊い命が失われることが多くなっています。地球温暖化のせいなのか、開発につぐ開発で深刻な被害が襲いかかっているのか…。無計画な森林の伐採や大規模な山火事、海水温の上昇などで、動物の異常死が急増して、28000種もの動物が絶滅の危機に瀕しているそうです。これらは全て、人間の身勝手な生き方によるものです。「命があるものは全てが平等です」と真弓先生はおっしゃっています。「人間だから偉い、動物だから人間より下にいるということはありません」―先日の真弓定夫ドキュメンタリー『蘇れ生命の力』上映会を通して、真弓先生が一貫しておっしゃっていた言葉が、改めて胸に迫ってきます。
私達人類が誕生するよりもはるか昔から存在していたウイルスですが、今、新型コロナウイルスで世界中の人達が苦しんでいます。生活様式も有無を言わさず変わらざるを得ない世の中になって、私達人間はどこに向かっていくのか?その先を見極めることが難しくなっていますが、おかげ様で麦っ子の子ども達は毎日井戸水の小川で遊び、いろんな生き物との遭遇に目を輝かせている日々を過ごしています。同じ景色を見て一緒に喜んで過ごす日常のありがたさに感謝する毎日です。
日曜日の朝NHKで放映している『目撃にっぽん』という番組をご存じでしょうか。先日は「二つの空を見上げて~浪江町のラッパー故郷を歌う~」という内容でした。原発事故で避難生活を続ける福島のRYUJIさんは、ラッパーとして故郷の浪江町への思いを歌っています。一方、彼の両親は別の避難先で暮らしていますが、帰還困難区域への復興再生計画が示されてからふさぎ込むことが多くなってきた父親…。RYUJIさんは朝から晩まで田んぼを耕して4人の子どもを育てた父親が作ったお米を、一粒も残さず食べていたことを思い出します。そんなある日、家族全員で故郷に帰って田んぼに立ち寄った時、父の日のプレゼントの長靴を「いつか浪江で田んぼを耕す時にはいて」と手渡しました。にっこり笑って「いつかな」と答える父親が田んぼを見渡します。そこにウオン、ウインツアンさんのテーマソングが流れて…。故郷浪江町と避難先の二つの空を見上げて暮らすそれぞれの年月。重い内容でしたが、ウオンさんの曲は限りなく未来に繋がる希望を抱かせてくれました。ちなみにウオンさんは「いただきます」の町田上映会の時、ゲストとして美しいピアノを演奏してくださいました。
2011年に起きた未曽有の原発事故は世界中を震撼させて、未だに多くの困難を抱えて解決の目途がたっていません。忘れっぽい日本人は、あの悲惨な3.11がなかったかのように原発の再稼働に道を開き、復興日本を掲げてオリンピックを誘致しました。「Under the control」と無責任に言い放った前総理大臣の一言から全てが始まって、今またコロナ禍が招いた貧困から逃れるすべのない若者を含む多くの人々を路上生活に追いやり、病床はひっ迫して救える命も救えず、4度目の緊急事態宣言が発令されています。それでもオリンピックは強行されます。なぜ中止の決断ができないのでしょうか。こんなこと、日本以外の国だったらあり得ないことだと思うのですが。本当に情けない……。私達はどこに向かって行くのでしょうね。 (2021.7.11)
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