• みこべ

ひめちゃん

2021年、新しい年が明けました。今年はとても寒い冬になりそうですが、皆さまはいかがお過ごしだったでしょうか。小川の水が凍るような朝、半袖にベストを着た子ども達が賑やかに登園しています。のんちゃんがゲルで焚火をしているので、ゲルの中は暖かです。今年もゲルであったまったら、元気に外で遊びましょうね。


麦っ子がクリスマス会をしていた12月22日の午後、ヒメちゃんがご病気で天に召されました。夏ごろは「ビールが美味しくて~」と言っていたのに、あまりにも早過ぎたことが信じられなくて、今でもひょっこりお台所に現れて野菜を切ったり、お味噌汁を作ったりしているような気がしてなりません。10月に検査入院をしましたが、自分の納得がいくやり方で向き合いたいと、自宅に戻って療養に専念していました。ですから職員のみんなも、麦っ子のご飯を届けたり、お粥やおかずを作って持って行ったり、手足のマッサージや湿布をしながら話したりして、亡くなる前の週までヒメちゃんに会うことができていました。みこべも金曜日に手足をさすりながら話をして、「また来るね~」と手を振ったのが最後になりました。考えようによっては、入院していたらコロナ禍の今、会えないままになっていたのかもしれません。ご家族の中で過ごすことができたことも幸いだったと思います。それでもなお、「なぜ―?」「どうして―?」と問いかけずにはいられません。私達の大切なヒメちゃんがなぜ……。


麦っ子のお台所の要として、全力を傾けて子ども達の為に美味しい食事を作ってきたヒメちゃん。真弓先生の理念である「牛乳を飲まない、日本人が昔から食べていた食事」を日々の給食にする為の土台を作り、どんなアレルギーの子もみんなと一緒に楽しくテ―ブルを囲んで食べることができるようにしてきました。特に3.11以降は残留放射性物質のないものを探して、安心安全な素材に徹底的にこだわりましたから、その苦労は生半可ではなかったのです。のんちゃんが「ただ美味しいから食べるんじゃない、自然の恵みに感謝して気をいただくことが大切」と常々言っているような食事を、妥協しないで日々積み重ねてきたヒメちゃんには、感謝してもしつくせません。食事には厳しい目を向けていたヒメちゃんですが、雲ぐみの餃子作りにはギョウザ子先生になって中国から飛行機に乗ってやってきてくれたり、運動会になるとさまざまな仮装で笑わせたり驚かせたり~。今でも目に焼き付いている“サザエさん一家の浪平さん”には、本当にビックリしたものです。徹底的に凝るヒメちゃんの仮装!!モトちゃんと組んだ不可能姉妹にも涙が出るほど笑い転げました。たくさんの名演技とエピソードは、麦っ子のみんなの中にしっかりと残っています。

子ども達の為に命がけで、台所という麦っ子のまん真ん中を守り育ててきた

ヒメちゃんの志を、これからもしっかりと守っていかなければなりません。子ども達の姿を見ながら給食を作る、子ども達の声を聞きながら調理に向かう―。そこには単なる栄養学の理論で計算されたカロリ―重視の食事とは違う、日本人が昔から囲んできた日本の家庭の食卓の姿があります。麦っ子が目指している食事は、まさにそういう食事なのです。お母さんが夕食の仕度をしている様子を見て育っていくように、天然のおだしのいい匂いに包まれている保育園に「ただいま~」と帰ってくる幸せを身体中で感じながら大きくなってほしい。ヒメちゃんの願いを私達はしっかりと受け継いでいこうと思います。


誰もが現実を受け止めきれないまま迎えた新しい年。大人も子どもも深い悲しみの中で少しずつ新年の歩みを始めています。昨日は、学童に長年お世話になっている岩本さん(パプちゃんのお母さん)が、かわいいお花模様の巻き寿司やのり巻きの作り方を教えに来てくださいました。夕方出来上がったお寿司を、お台所のカウンターに飾ってあるお花やヒメちゃんの写真の前にお供えに来てくれました。学童のみんな、ありがとうね。ヒメちゃん、きっと「美味しいね~」って喜んでくれたと思います。今日のお昼ごはんの後にお片付けに来た太陽の女の子が「ヒメちゃん、食べた~?」「食べてくれてありがとう」というのを聞いて、また涙ぐんでしまいました。ヒメちゃんは子ども達の中に、こうやってずっと生き続けているんですね。

お見舞いに伺った時私の手を握りしめて「みこべの手あったか~い」と言ってにっこり笑ったヒメちゃん。「お粥、すごく美味しかったよ」と喜んでくれたヒメちゃん。この間の夢の中で、ヒメちゃんはいつものエプロン姿で調理台を拭きながら私に話しかけてくれました。あ~、やっぱりヒメちゃんはお台所にいるんだね。一緒に食事を作ってきたお台所の人達は、ヒメちゃんの気配を感じながら、

今もヒメちゃんと一緒に子ども達の声を聞きながら、愛情たっぷりのご飯を準備しています。職員一人ひとりの中にも、きっとあふれるようなヒメちゃんの思い出がぎっしり詰まっていることと思います。ヒメちゃん、いつかまた、きっと会おうね。                  (2021.1.7)

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43年前、自宅の一室でどこにも行き場のなかった6ヶ月の赤ちゃんをお預かりしたことから始めた麦っ子ですが、働く女性を支援する為に、どんな子も受け入れてきました。様々な事情のある子や周りとうまくいかない子など、泣きながら相談にきた家庭もたくさんあり、今でもその時々の親子の顔を忘れることはありません。アトピーがひどくて、どこにも受け入れてもらえなかった子達は、その後のアレルギー対応の食事に取り組むきっか