風・雲の合宿が無事に終わりましたね-。それぞれに晴れやかな顔で遊んでいる子ども達を見ていると、なんて素敵な時を過ごしたのだろう~と改めて思います。担任のもとちゃん、いねぼー、ゆっこの思いを実現するべく、麦っ子中が「3匹のやぎのがらがらどん」色に染まっていった2週間。チビ達の手形と足形が繋がって橋になり、そこにデカ達のガラガラドンとトロルが描かれて一枚の大きな幕になり、学童の応援メッセージの幕と繋がって飾られました。お台所の傑作、合宿応援メニュー「ガラガラ丼」やデカが焼いた可愛いヤギパンなどなど…♡どんなにか風・雲ちゃん達は喜んだことでしょう!! 真弓先生が「今の子どもは何と言っても遊びが足りません。群れをなして外遊びをすることが大事です。3才までにそうやって存分に遊ぶことで人間関係の基礎を学ぶことができるのですよ」と、よくおっしゃっていましたが、こんなに濃密な時間を過ごしている2.3才児ってどこにいるでしょうか?期待も不安も抱えながら過ごした2週間を、麦っ子を信頼して送り出して下さった親の皆さん、本当にありがとうございました。
「3匹のやぎのがらがらどん」は1965年に福音館書店から発行されて以来、日本中の子ども達を魅了してきた名作です。みこべにとっても、たくさんの子ども達に読んできた特別に大切な絵本の中の一冊です。まだ新米だった私に「誰にも負けないで読むことができる自分だけの絵本を持ちなさい」と教えてくれた読み聞かせの先生の言葉を信じて、何度も何度も繰り返し練習した一冊でもあります。以前は「こどものとも」や「キンダーブック」などの月刊誌を、毎月一人一人に届くようにしていた保育園や幼稚園も多かったのですが、今はどうなのでしょうか?(これ、麦っ子でも実現したいなぁ!)一枚一枚ドキドキしながらページをめくる喜びをTVやスマホが奪ってしまったと感じているのは私だけではないと思います。過剰に飛び込んでくる光の色彩、強烈な効果音が毎日、目からも耳からも飛び込んでくることでやわらかな子どもの心にどんな影響があるのか……、想像すると胸が痛くなります。仕事に追われている親にとって、帰宅後の忙しい日々の様子は、みこべもよく分かります。毎日毎日、髪を振り乱して慌ただしく時間が過ぎていったあの頃ですが、眠い目をこすりながら3人の息子に欠かさず毎晩絵本を読んであげていたあの時間は、今になってみるとなんと幸せな時間だったことかと心から思います。
お母さんやお父さんが夜寝る前に読んであげる絵本は何でしょうか?毎日同じ絵本を「読んで~」と言ってくる子はいますか?お気に入りの大好きな絵本を抱きしめて寝る子もきっといると思います。麦っ子では、絵本に親しんでもらう為に絵本を貸し出ししていますが、残念ですがそれは“わたしだけの絵本”にはならないのです。もとちゃんは「もとのだいじだいじ」の絵本を雲ぐみに読んであげていますし、毎月来るから思いがけない絵本と出会って、それが家族の中でもお気に入りの絵本になることもあった~とひめちゃんは言っています。絵本は必ず親が読みますから、お母さんやお父さんの声や息遣い、匂いも一緒に、大きくなっても記憶に残っていくのですね。ひとつのページに描かれた絵からどこまでも広がる想像の世界に遊べる子は幸せですね。繰り返し繰り返し刻まれていく絵本の世界がもたらすものは、他の何物にも代えがたい自分だけの宝物になることでしょう。我が家の息子達が自分の子どもへのクリスマスの絵本を選ぶとき、幼い頃読んでもらった絵本のハードカバーだったり、「ピーターラビット」のセットをだったり、赤羽末吉さんの「ももたろう」を見つけてパラパラめくっていたり、「おかあさんどこ?」という絵本がついこの間まで置いてあったり…。子どもだけでなく、親の私も本当に懐かしく嬉しいことだったなぁ~としみじみと思います。
「こどものとも」は1956年創刊されました。作家の池澤夏樹さんは、戦後の子ども文化にとって、「こどものとも」が果たした役割は大きいーと言っていますが、時代が変わっても安い値段で子ども達に良質の絵本を届ける姿勢は変わりません。ずいぶん昔ですが、福音館書店で毎年、絵本作家の何人かを講師として開かれた研修会に参加したことがあります。かこさとし、赤羽末吉などそうそうたるメンバーでの贅沢な研修でしたが、その中で福音館書の初代編集長・松居直さんのお話を聴く機会がありました。特に印象深かったのが、まだ新人だった頃の赤羽末吉・絵の「かさじぞう」です。読んだことのある人にはすぐに、「あぁ、あの絵♪」と浮かんでくると思いますが、モノトーンの色合いの絵だったので、子どもにこういう作風が受け入れられるかどうか社内でも意見が分かれたそうです。松居さんは赤羽末吉にこの色合いのままで~と伝えて「かさじぞう」は世に出ました。まだ無名だったいわさきちひろ、長新太、田島征三、安野光男などの才能を発掘した人でもあります。
同じ福音館から出された「かがくのとも」は、子どもの興味をそそるように、とてもよく考えられたテキストと楽しいイラストで構成されています。「かがくのとも」は50年続いていますが、子どもにとって最も身近な自分の身体について描かれた「みんなうんち」とか「おなら」、「おへそののひみつ」はすぐれたヒット作品ですね。他にも動植物や大きな宇宙、極微細な世界も案内しています。この「かがくのとも」は、特に太陽や学童にはぜひとも読んでほしいです。
―子どもの時に熱中したことは、過去の思い出になるだけではありません。
大人になった未来の自分を助けてくれます― 真鍋真
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