
園庭の小川の向こう側で、今年も冬を告げる皇帝ダリヤの花が咲いています。
異常に暑かった今年の夏、園芸好きの人達から「大事な花が何本も枯れてしまった」「丹念に育ててきた植木が枯れた…」という悲鳴が聞こえていたので、ちゃんと咲いてくれるかどうか心配していました。背丈はいつもより低いけれど、青空の中ですっくと立っています。ちょうどいい季節が短くなって、先週は真冬のような寒い日が続きました。世界中の気象が病んでいるようです。
今月号は12月なので『クリスマスには絵本をどうぞ』と題して、職員の皆さんのお気に入りの絵本を紹介してもらいました。もっともっと見てほしい絵本も多いと思いますが、涙をのんで1冊にしてもら
っています。赤ちゃんがお気に入りの絵本をかじってしまう話はよく聞きますし、新しい絵本を買ってあげたのに、あちこちボロボロになっている絵本を「読んで~」と持ってくる子も多いですね。そんな話を聞くと、小澤俊夫先生が「子どもは同じ場面や繰り返しを好みます」「繰り返し経験する中で学んでいくのです」とおっしゃっていたのを思い出します。親からすれば、せっかく買ってあげたのに~と思うでしょうが、そこはぐっとこらえて、子どもが選んだ気持ちを尊重してあげてくださいね。
前ページに、小澤俊夫先生からのお便りを掲載しました。小澤先生とは10年以上前に、もとちゃんに誘われて参加した、昔ばなし大学の入門コースでお会いしたのが始まりです。麦っ子にも来ていた
だいたり、保育会の主催で講演会をお願いしたこともありました。先生は、子どものための絵本と再話のよしあしを見分ける目と耳とを養うために、安易な子ども向け絵本との違いを徹底的に講義されました。特に昔ばなしは、口伝えという、長い伝承の年月を経ても色あせない、独自の洗練された様式を持つ特殊な文芸形式なので、日本だけでなくドイツなどのメルヘンも紹介しながら、熱心に講義してくださいました。そして、昔ばなしの中には、子どもがどうやって育つのか、人間の生命はどうやって成り立っているのか、という人間の生に密着した知恵が語られているとおっしゃっています。だからこそ、質の良い絵本や昔ばなしを選んでほしいこと、口伝えで語られてきた物語は、一字一句変えてはいけないことを厳しく指導されています。今はコロナで直接お目にかかることはできませんが、オンラ
インでの勉強会でなんとかついていきたいと思っています。
以前は講義の後、先生の指揮で簡単な合唱曲を歌ってたのが思い出されます。弟である小澤征爾さんのことも話題に出たのも楽しかったです。又一緒に歌えたらどんなにか幸せでしょう。 (2020.12.7)
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