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執筆者の写真麦っ子

<絵本の楽しみ~クリスマスには絵本をどうぞ~>

 あっという間に12月に入って、太陽ぐみはカレンダーの制作に取り掛かり始めました。今年はどんなカレンダーになるのか、楽しそうに藍ちゃんと相談している太陽達を見ていると、こちらもワクワクしてきます。卒園まであと4ヶ月になりましたが、思う存分麦っ子の毎日を楽しんでほしいと思います。そして今日は、虹ぐみだけで横浜にお出かけしました。毎年、この時期になるとやってくる虹だけのお楽しみの一日。ちょっとだけおしゃれをして、トマちゃんとのんちゃんと一緒にお出かけする特別な一日ですが、この日の午後、中村哲さんの訃報が飛び込んできました。何度か講演をお聞きしていたし、ペシャワール会のニュースレターも受け取っていましたので、あまりのことに言葉を失いました。常々「日本は敗戦後、他国で戦争を起こさず銃口を向けない国という認識が広がった。九条はまだ辛うじて力を放ち、そのおかげで私達の活動が守られている」と口にしていました。何よりも相手を徹底的に信頼し誠実に活動し「武器ではなく命の水を」と戦火に苦しむ人の支援活動を続けてきました。アフガンという紛争地にあって現地の人達と共に井戸を掘り、用水路を作って大干ばつの地に緑が戻り、小麦畑が広がっているそばで現地の人達とにこやかに笑っていた中村哲さん…。本当に、無念でなりません。一方で、私達が住むこの国は軍事的貢献に傾いてゆき、平和な世界を実現できているとはいいがたい現実があります。先の戦争を体験した人達は一様に「今の日本が戦前の空気になっている」と懸念しています。多くの国民の声を無視したまま、国会で「安全保障関連法案(戦争法案)」が強行採決され、メディアは政府の意向に忖度するようになり、原発や武器を輸出する国になり、少しずつ戦争ができる国に近づいている気配を感じるのは私だけでしょうか…。この国の為政者とは次元の違う誇り高い生き方を貫いた中村哲さんを決して忘れません。

こんな不穏な世の中ですが、子ども達は子どものまま夢の世界と現実を行ったり来たりしています。お母さんやお父さん、おばあちゃんが、絵本を開いてその肉声で語りかける夢の時間―。絵本には魔法の力があるのですね。吟味されたすぐれた絵本を大切に語り継いでいくことも、戦争に向かわせない確かな力になっていくと思います。そこで今回は、以前にも紹介した長崎にある「祈りの丘童話館」元代表、川端強さんの「絵本のある子育て」からの提案を、再度ご紹介いたします。12月はクリスマスの月ですものね。

~こどもの本だからといってどんな本でもいいわけではありませんよ。絵本が魔法の力を持つためには、なによりも質の高いすぐれたものであることが必要です。すぐれた絵本は子どもにかけがえのないプレゼントをもたらします~

◎ 美しいものへの感性を育てる絵であってほしい

子どもは絵本を読んでもらいながら、いっしんに絵を見ています。媚びた漫画的な絵や可愛い絵ではない、子どもに見つめられるに足る絵であること。

◎  言葉を育む美しい日本語でつづられている

     子ども達は未知の美しい日本語を、親の声で読まれる物語の楽しさ  

     にのせて身につけていく。言葉は、考えや思い、学び、伝える手だてですから、言葉が豊かになることがその子の生活を豊かにする助けになります。この言葉の力は、乳幼児期の親から子への語りかけ、絵本を読んであげるという、温かなふれ合いを通してこそ得られていきます。言葉が遅い、うまくしゃべれない子もいますが、だからこそいっそう語りかける時間を大切にしてほしいです。

◎  子どもの真の姿を描いている

     絵本は絵と言葉によってつづられる物語です。ただのギャグや思い

     つきで描かれた絵日記のようなものを絵本と勘違いしないでくださいね。1才には1才の、3才には3才の、5才には5才にふさわしい絵本があります。麦っ子で取り寄せている福音館の絵本や、川端さんの「親と子の童話館ぶっくくらぶ」、小澤俊夫先生が監修したグリム童話や日本の昔ばなし、クレヨンハウスのブッククラブなどは、それぞれの年令にふさわしく選ばれた、洗練された良書です。親から子へー、子からまたその子へと受け継がれていく力を持っている絵本ばかりです。今回配布した、福音館の「冬に贈りたい絵本」は、昔から読まれ続けているすぐれた良書ばかりです。ぜひ注文して、自分だけの絵本に加えてください。

 さて、子どもの心の成長に応じた絵本が手に入ったらどうしますか?

小さい時はともかく、字が読めるようになったので子どもに「自分で読みなさい」なんて言っていませんか?それではせっかくすぐれた絵本を手にしても、魔法の宝箱は開かないのです。いつの世も、いつになっても、この魔法を解く特別なカギは肉声で読んであげることです。時には膝に乗せて、時には添い寝をしながら、時には図書館で~。親や大人が読んであげるからこそ命が通って魔法の世界が開くのです。字が読めるようになって文字を拾い読みしていても、それはただ文字と言う記号を音声にしているだけです。上手に読めなくても、たとえたどたどしくても、大人が読んであげることで子どもは目の前の絵を通して、瞬間的に言葉からイメージを描いて次のページへの期待や想像をふくらませます。それは「目に見えないものを見る力」「想像力」になっていきます。この力は絵本を繰りかえし繰りかえし読んでもらうことでついていくものです。5才になったから、小学生になったからと言って「自分で読めるでしょ」と言わないでね。ちなみにみこべの息子たちは、上の子と下の子と10才も年が開いていましたから、我が家では実に16~7年もの間毎晩絵本を読んでいたことになります。長男も次男も小学生になっても、末っ子に読んであげる絵本を聞きながら育ちました。今振り返ると、忙しかったみこべにとって夢のような「魔法の時間」だったんですね。そして絵本を通して、生きることも学んできたように思います。愛すること、友情、勇気、やさしさ、ユーモア、悲しみや喜び、支え合うこと、働くこと、自然への畏敬の気持ち…。ネットも情報を得る貴重な手段ではありますが、本に勝るものはないと心から思うのです。

 その絵本を読むということは、家庭に静かな時間を作るということですね。TVや電子音が絶えず響いていては、親と子で向き合って絵本を読むことはできません。電車に乗るとまだ幼い子がスマホをオモチャがわりにしている光景もめずらしくありません。電子機器が子どもの脳に与える影響の深刻さは、真弓先生はじめ多くの医師や学者が指摘しています。子どもの前では、できるだけTVを消してみませんか?TVを子守がわりにするのでは、あまりにももったいないです。おしゃべりやお絵描き、折り紙やあやとり、散歩やお手伝いなど…。家庭に静かな時間を取り戻すことで、家庭本来の姿がよみがえってくるはずです。すぐれた絵本の物語には、先に生きた人々の子育ての知恵が語りこまれています。お父さん、お母さん、どうぞ絵本のある子育てをして下さい。それは、親だけの孤立した子育てから、多くの人々の経験や知恵とともにある子育てになると思います。そして、麦っ子の毎日を通して、いろんな親子と繫がりあっていくことで、孤独な子育てからサヨナラしてほしいと願っています。

(2019.12.4)

  *「絵本のある子育て」

~ここに、こんなに かけがいのない親と子の宝があります~

掲載を許可してくださった川端翔さん、ありがとうございます。

心から感謝いたします。

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