麦っ子ってなぁに?
子ども達みんなが元気に育つために
たった一人の赤ちゃんを見ることから始まった麦っ子畑保育園は、座間市唯一の無認可保育園として長い間ユニークな活動を続けてきました。その原点は、「全ての子ども達が平等に、元気に育つように」という点にあります。
ここで言う「元気」とは、うわべだけの健康ではなく、心も身体も生き生きと輝いている「元気」、一人一人が自分と周りの子ども達を気にかけながら、のびやかに明るく生きることです。大きい子も赤ちゃんも、弱い子も強い子も互いに助け合い、自然と親しみ、心も身体もたくましい子になって欲しいという願いが込められています。
「子どもは群れを成して裸足で遊ぶこと」と明快におっしゃっていた、 小児科医・真弓定夫先生との出会いが大きなものになりました。麦っ子の“自然流育児”ということばは、先生の著書から。 自然を先生としてものごとを考え、お散歩を中心とした保育をしていきたいと考えていた麦っ子とピッタリでした。 人知を超える存在に対して畏れる気持ちを持つこと、無農薬、無添加の素材の給食を提供すること、お友達を大切にすること、 …それは自然の中で生かされている私たちが命を尊ぶことに繋がります。大切な命だから、 「みんな一緒に同じ場所でね」と考えて毎日を過ごしています。
2017年7月から認可保育園になりましたが、0歳児~5歳児の子たちが互いを気にしながら、どんな子も一緒にゴチャゴチャと生活するスタイルは変わりません。
なぜ散歩イコール保育なの?
まず何といっても、子供が喜ぶからです。子供は水が好きです。泥んこも好きです。原っぱが好きです。虫が好きです。穴が好きです。雨が好きです。山が好きです。川が好きです。海が好きです。そして、それら自然が子供の心と体を育ててくれるのです。 外に出るということは、一つの集団が互いに意識しあい、まとまって移動しなければなりません。部屋や園の中という閉鎖された空間の中では、必ず外れている子、落ちている子がいます。大人はしばしばそのことに気付かず、日常を過ごしてしまいます。しかし、一度外に出るとはっきりと分かります。それは、「トロい」子であり、勝手な子です。「トロい」子は月齢が遅い子とか障害のある子などで、もたもた歩いていていつも遅いくせにみんなと同じように一通 りの遊びをしてきます。勝手な子はさっさと先に行ってしまったり、公園などで遊んでいても、自分の好きなところへどんどん行ってしまいます。「トロい」子は時を重ねればそれなりに素早くなるし、みんなが待っててやれば外れることもなく、みんなと同じように出来るようになります。勝手な子はそれなりに出来る子が多く、家庭でもそういう状況を把握しにくいせいか、どちらかというとなかなか難しいです。麦っ子の中では常に注意してやっているのでまあまあですが、学校に行ったときどうなるか心配しています。 散歩に出るときの大人の人数について 麦っ子の散歩は外をどんどん歩いて遠くまで行ってきます。その際たいていの場合は、複数のクラス担任が何クラスかの子どもを連れていきます。何かあった場合に複数であればすぐ対処できるからです。しかし稀にクラス別 、担任のみで出かけることもあります。そうすることで、クラスをまとめたいとか子どもたちの気持ちをひとつにして集中させたい、あるいは担任と子どもの関係をもっと深めたい、そんなときにあえて大人ひとりで出かける手段を選ぶことがあるのです。言うまでもなく、この時の大人はいつもより増して安全に気を配っていることは当然です。そして、通る道を車の少ないところにしたり、行き先もよく知っている場所にしたり、時間的にも無理のないような散歩をするように意識してやっています。
麦っ子の食事はなぜ無添加無農薬なの?
なぜおやつに牛乳を飲まないの?
安全な食品を作ることはとてもたいへんな作業です。農薬や化学肥料を使わないということは生産性の低下と、より多くの手間と労力が必要になるということです。しかし、昔の農村を考えればわかると思いますが、そこには虫や鳥、魚や小動物など豊かな自然があり、その共生共存のなかで人々は暮らしてきました。この基本的な思想は、麦っ子の保育の姿勢と共通 したものがあるのです。そういう思いで作られた農産物を台所のおばさんたちは、子供たちの顔を思い浮べながら心をこめて作っているのです。自然との共生、どの子も一緒に育ちあうということが根本にあると考える麦っ子では、当然食品も自然なサイクルのなかから生まれてくる食物を保育の大きなウェイトをしめると考え、現代に溢れる合理性ばかりを求めたインスタント食品や大量 生産のかたちばかりの食物を給食には使っていません。そればかりかアレルギー食、離乳食、2才以下の低年令用の食事、3才以上の食事を、実に4種類もの食事を作っています。それは合理的に管理保管された見た目に安全なパック製品ではなく、畑で作っている人の苦労を思いながらどろつきの葉っぱを洗い、不揃いな形のいもなどを切り、虫食いを取りのぞいて調理されたものです。私たちはそういうさまざまな思いに感謝をこめていただいているのです。野菜を作る人、それを調理する人、食べる人それぞれの顔が見える関係にこだわり、いちいち面 倒なことをしていく日常性を大切にしていく麦っ子だからできる食事であり、保育なのです。人間が育ってゆくときに何にこだわり、大切にしようとするのかを一番に考えあっていけたらと思います。
麦っ子では学習会を何回か持って、吉祥寺の小児科医、真弓定夫先生からお話を伺いました。その結果 、食事の中から牛乳、肉、卵などの高蛋白質のものを抜くようにしてきました。(真弓定夫著:「自然流育児のすすめ」地湧社、など著書多数あり)その代わり日本人が伝統的に食べてきた小魚、海藻、青菜、根菜を多種取り入れたメニューを考え、調味料も大手メーカーのものをやめ、昔ながらの製法で造られたお醤油などを使って作られていますので、たいへんおいしく、こどもたちも野菜好きに育っています。おやつにも昆布・おにぎり・ごぼう・大根・人参などの野菜がでます。麦っ子は薬に頼らないで病気にならないからだを普段から作っていこうと考えながら保育しています。薄着、風通 しの良い住宅環境なども真弓先生と同じ考え方です。