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就学時健康診断は必要なの?

 毎年秋になると来年1年生になる子どものいる家庭に、一通の案内が届きます。「就学時健康診断のお知らせ」-。麦っ子では開設以来毎年、世の中では当たり前に繰り返されている就学時健診について、親の皆さんと学習会を持ってきました。理由は、就学時健診という制度は、子ども達を「障碍」のある子とそうでない子、普通級に入れる子と特別支援学級や特別支援学校などにどうぞーと言われる子に分ける為の制度であると考えているからです。

 麦っ子では、誰でも麦っ子を必要とする子は受け入れています。どんなことがあっても、こちらから退園を迫ることはしません。ですから、保育園や幼稚園からはじかれてしまった子も、みんなと一緒に麦っ子で過ごし、みんなと一緒に卒園してきました。病院や通園施設で「集団生活は出来ない」といわれた子も同じように一緒に過ごしてきました。子ども達は「障碍」のある子として付き合いません。同じクラスのお友だちの一人として、時には苦労しながら仲よしになります。ひどく噛まれたり、大事なおかずを失敬されても、どうやったら仲良くなれるかを一生懸命考えている子ども達。大山登山も合宿もジャギーも運動会も夏のプールも冬のマラソンも、みんな一緒にやってきました。

 ですから、地域の小学校に一緒に行くことは当たり前のことですし、普通学級で一緒に学ぶことも当たり前のことだと思っています。学校の中でいろいろ工夫や努力をして、同じ小学生として受け入れてほしいと強く願っています。

 もうひとつ大切なこと、それは就学時健診は義務として受けなければならないものではありません。いろいろな健診は入学後全員にしているのですから、そこで受ければいいことです。小学校に入学する為に必ず受けなければならない法律はありませんから、制度そのものに反対の気持ちがある人は、受ける必要はありません。どの子の親も当り前のこととして地域の小学校に入学していってほしいです。そして、差別を受けて苦しい思いでいる人がいたら、どうぞ知らん顔しないで下さい。辛い気持ちでいる子どもを受け入れる親子になって下さい。「障碍」のあるなしや、勉強の出来る出来ないでその親子から離れないで下さい。お年寄りも大人も子どもも、みんなが一緒に助け合って生きていけるような社会になるよう、どうぞ自分の身近な場所を大切に思って下さい。
 
 麦っ子が就学時健診の制度そのものに反対しているのは、子ども達を分けることに繋がるからです。子どもを分けることは、いずれ自分自身が社会から差別されることに繋がります。どんな子がいても当たり前の世の中になったときこそが、弱者やお年寄りが大切にされる世の中になるときである確信しています。         

(みこべ)

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