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  • 執筆者の写真みこべ

<新年度のスタートにあたり、改めて真弓先生のこと>

 4月1日、新しい年度が始まった日、一度に11人もの新人ちゃんが顔をそろえました。星、空の小さい子たちはピーヒャラリ~と泣いても当たり前ですが、麦っ子では初めてのことです。今までは4月が必ずしも入園の月ではなかったし、様々な理由で途中から入園する子が多かったのですから、逆にみこべは新鮮でした。認可保育園ってこういうことなのね~と思いを新たにしました。今までデカの担任を長くやっていたユウシくんが空ぐみになったり、バイトに来てくれていたトマちゃんが虹の担任になって、アイちゃんとのフレッシュコンビになったり、とても刺激的な4月です(笑)。卒園式の前から咲き始めたツリーハウス上の桜の花がきれいに咲いて、青空に映えて気持ちのいい朝でした。新一年生も学童の場所に座って、ちょっと緊張気味で可愛かったですね。

職員一同、明るく楽しく毎日の保育に臨んでまいりますので、親の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。何度も言っていますが、子どもの育ちは家庭、保育園どちらか一方に比重がかかるものではなく、双方が信頼を置いて理解し合い、共感する中でこそ成り立っていくものだと思っています。時には耳障りなこともあるかもしれませんが、直接顔が見える関係の中で、話したり笑ったり意見を交わしたりしていきたいと思います。



 ここに一冊の本があります。長年,麦っ子の園医をしてくださっていた小児科医・真弓定夫先生の著書『子供たちに送る12章』という冊子です。みこべがこの本を手に取ったのはもうずいぶん前になりますが、2年前に公開された真弓先生のドキュメンタリー映画「甦れ生命の力」の中に紹介されていて、又読み返してみました。先生は、心の偏りに起因する異常行動や犯罪が増加し続けて、低年齢化していることをとても心配していらっしゃいました。そしてその最大の原因は、敗戦後7年間に亘り、アメリカに占領された日本への政策によるものだとおっしゃっています。アメリカ依存の政策が続いて、食生活を中心とした生活環境全般が欧米化され、日本の優れた伝統文化が劣化してしまいました。麦っ子が初めて真弓先生の講演をお願いした時、先生がまずおっしゃったのが「私達は、哺乳動物として生きている人間です」ということでした。その哺乳動物である人間に一番近いのが野生のサルですから、サルに真似ればいいのだというわけです。「サルが人間の乳を飲みますか?他の動物の乳を飲みますか?おっぱいは血液なんですよ。人間も他の動物の血液を飲んではいけないのです」。えっ?保育園なのに牛乳を飲まないなんて!カルシウムをはじめ、栄養たっぷりの牛乳を飲まないでどうしよう…と、その当時、牛乳神話を疑うことのなかった私は、もう、びっくりの連続でした。でもお話を聴いているうちに、学校給食でアメリカから導入された粉ミルクや牛乳、小麦を多用する献立が中心になり、パン+揚げ物+サラダ+中華スープ+牛乳…と、いったいどこの国の食事なのかわからないメニューが広がっていったこと、日本の伝統的な食事が失われていくのと同時に、衣食住の欧米化がもてはやされてきたことがよくわかりました。ちょうど、みこべの子ども時代と重なっていたからです。真っ白な食パンを食べている先生がすごくハイカラに見えたし、世の中全体が、アメリカの真似をするのがカッコいいという風潮で、TVを通してパン食や、イス、ソファー、ベッドのある暮らしに憧れたものでした。


 真弓先生が特に強調されたのが「群れをなしての外遊び」の大切さです。神奈川新聞のコラムで「子どもは薄着で群れをなしての外遊びが大切です」と書いていたのを読んで講演をお願いしたのです。サルが生息する北限は本州の下北半島なので、神奈川県で生活している子どもは、寒くても手足を出して薄着で十分であること。一人ではなく集団で遊ぶこと。「家の中で遊んでいるのは遊びとは言いません。今の子どもは何といっても遊びが足りません。サル山の子どものサルが一匹だけで遊んでいますか?」幼児期、それも3歳までの集団での遊びを通して<覚他の精神>を身につけることが大切です、と強調されました。<覚他の精神>とは、自分だけでなく、他の万物に対する思いやりの精神のことです。戦前の日本人の大半は、この<覚他の精神>を何よりも重んじ、われ先に自分のことをしたり、他を考えず自分の欲に走ることを戒めていましたし、自分のことばかりが優先されるのは非常に恥ずかしいことだったのです。そしてそれが身につくのは幼少期であり、「三つ子の魂100まで」という諺(ことわざ)がまさにそういうことでした。

 麦っ子の子ども達を見ていると、勿論小さいがゆえに我を通したりすることがあっても、他の子ども達への思いやりや、動物や草花、自然への素直な気持ちを持ち、ケンカした相手に涙が乾かなくても「もういいよ」と言えたり、ステキだなぁ~と、感心します。長い年月をかけて麦っ子らしさを貫いてくることができたことを、心からありがたく思っています

。    (2019.4.6)

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