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  • 執筆者の写真みこべ

「言葉ずらし」見破って

 穏やかな日和に恵まれたお正月でしたが、ここにきて気温がぐっと下がり冬らしい朝になりました。早朝、手の先が切れそうな冷たい空気の中、のんちゃんとみこべにもアンとルジアを連れて麦っ子に向かう日常が戻ってきました。のんちゃんはゲルに行って焚火の準備をし、新しい朝が訪れたことに感謝してみんなの健康を祈ります。みこべは学童の戸や窓を開けて、お魚にエサをあげたりコッコを外に出したりしてから、麦っ子のデッキの扉を開けます。真冬でも窓や戸をちゃんと開けるのは旧園舎の頃から変わりません。さすがにこんな寒い朝は泣きながら登園するチビちゃんが多くなりますが、半袖で来るカッコイイ人たちもいます。本当に偉い!!体操~マラソンまでは上着を着ていてもいいのに―とも思いますが、なにせ「なるべく薄着で張ろうね~!」「寒くても手足を出してチョッキを着れば大丈夫!」と宣言していますし(笑)、案外子どもは動き出すと大丈夫なのです。8:00過ぎる頃にはお日様が園庭に届いて暖かいのですよ。今月の26日には毎年恒例のマラソン大会もあります。3才児の雲ぐみから太陽まで約1.4㎞を走るマラソンは、この辺りの冬の風物詩になっています。みんな頑張ろうね~~!!


 昨年暮れの東京新聞夕刊に「言葉ずらし」見破って―という内容で、小澤俊夫先生の記事が掲載されていました。小澤先生はグリム童話の研究と共に、昔話の発掘や分析研究を長年されながら「昔ばなし大学」を立ち上げて、おばあちゃんやおじいちゃんが口伝として代々語り継いできた昔ばなしを聴き取りして保存し、一字一句まで正確に伝えて継承していく研究会を主宰されています。もとちゃんとみこべは何年も前から、相模昔ばなし研究会の一員として教えていただいてきました。世界中の昔ばなしに共通してみられる文法や話法など、忙しいみこべはみんなの後からようやく付いて行っている状態で申し訳ないのですが、妥協を許さない真摯な研究姿勢と、一貫して平和を希求する先生の姿に引きつけられてきました。先生が折に触れ憂いているのが「今の日本はまるで戦争前夜のようだ」ということです。戦争を体験された先生ですから、このところの胡散臭い政府の対応を黙って見ているわけにはいかないのです。

1945年の「敗戦」を「終戦」と言い換えたのはこの国の指導部が、戦争責任を追及されないようにする「さかしい知恵」だと指摘。自衛隊を派遣した南スーダンで起きた政府軍と反政府勢力との戦闘を「戦闘行為ではなく衝突だった」と国会答弁したことも、とんでもない論法だったとおっしゃっています。派遣部隊の日報に「戦闘」と書かれていたことが後日明るみになりましたが、国民への説明はあいまいなままでした。最近では、海上自衛隊最大のヘリコプター搭載護衛艦「いづも」が明らかに「空母」としての性能なのに、「多用途運用護衛艦」と言い換えています。小澤先生はこれらを「政府が言葉を本来の意味や用法からずらして実態を隠す、言い換えによる言葉ずらし」だと主張され、私達に真実をしっかりと見て「言葉ずらしを見破ってほしい」と提唱されました。「言葉をずらして本質を見せない技法は、政治家、高級官僚たちが経験を重ねて身につけてきた『国民操縦法』です」と看破。「私たちも、(戦時中)だまされた体験を無駄にしないこと。権力側の試みを鋭く見破って日頃から話題にし、そんな国民操縦法を拒否していこう」と呼びかけています。


政治にシロウトである私たちでさえ、目と耳を疑うようなことばかりが普通に行われているこの国の実態……。何故国会で嘘が堂々とまかり通るのか?言ったことを言っていないと平気で言えるのか?あるものをないと隠そうとするのか?…こんなことを子ども達の前で堂々と出来ますか?と、一度きちんと聞いてみたいとみこべは本気で思っています。巻頭にも書きましたが、麦っ子は「自然を師として、自分にも人にも嘘をつかないこと」を信条としている保育園です。一昔前までは、国の偉い人を目標にして日々励んだ子どもがたくさんいたはずですが、今や「見習ってはいけません」と言わざるを得ないようなことばかりで、本当にうんざりします。でも、うんざりしてばかりもいられないですね。戦後から今日に至るまで、アメリカと日本から踏みつけられて犠牲を強いられてきた沖縄出身の歌手ナーグシク・ヨシミツさんは「僕たちは決してあきらめない」「いつも愛と希望を持って」と唄い続けています。子どもたちが未来に希望を抱いて飛びたてるような日々を、私たち大人はなんとしても用意しなければなりません。毎日楽しそうに遊んでいる子どもたち。美味しそうに麦っ子のごはんをもりもり食べる子どもたち。ケンカしても「もういいよ」と仲直りする子どもたち。身体中で笑ったり泣いたりしている子どもたち―。今を全身で生きているこの子たちを見ていると、本当に幸せな気持ちになります。

“三つ子の魂100まで”―、赤ちゃんも大きい子も一緒に育っていく麦っ子。様々な年齢の子たちが群をなして遊んでいる麦っ子。どんな子も受け入れて、毎日のお天気と相談しながら出かけるお散歩。その時々の季節の移り変わりに驚いたり喜んだりしながら幸せな時間を共有して生まれる場。仲間意識や感謝の気持ちを大切にしながら、出来ることを少しずつ積み重ねていくことの中から答えが見つかるかもしれませんね。みこべもまだまだ頑張っていかないと!ですね。                        (2019.1.7)

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